A地帯

創作小説、ブロント語、その他雑記等。

アンジャスト・ナイツ

アンジャスト・ナイツ2 各話一覧

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #プロローグ - A地帯アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #1「Bloody Sam①」 - A地帯アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #2「Bloody Sam②」 - A地帯アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #3「Bloody Sam③」 -…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #27 「Affinity」

「ありがとうございました」 深々とお辞儀をするオリガ。目の前には、ナイツロードの面々が揃っている。「お礼なんていいって、俺らも任務だったんだからな」 腰に手をやり、自慢気に鼻を鳴らすアルドロ。「そうだな。だがお前は俺に謝罪が必要だ。な?アル…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #26 「Spritzer⑤」

「ユーリ」 聞き覚えのある、少女の声。 王宮でこの声を耳にするたび、ユーリは彼女に寵愛と憎悪の入り混じった心象を抱いた。 何度となく耳にしたそれに、ゆっくりと目を覚ますと、そこにはオリガの顔があった。

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #25 「Spritzer④」

「遅いぞボウズ」 突然の登場にも関わらず、エーカーはさも当たり前だというような口調でアルドロに語りかけた。 先ほど自分の命令で本部に突き返したのにもかかわらず、まるで戻ってくるのが分かっていたかのようだ。「ルセェ、誰かさんが散々痛めつけてく…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #24 「Spritzer③」

セントフィナスの広場前に、大きな高台がある。 石造りだというのに表面は白くて隆起がなく、無骨さの欠片も感じさせられない。気品溢れるセントフィナス中心部の街並みにすっかり溶け込んでいる。 十数年前、建国記念に建立されたソレは、セントフィナス中…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #23 「Spritzer②」

「までゴラァ!」 王女を抱え、長い廊下を走り去ろうとするユーリを、エレクは追う。 エレクの持ち前の脚力なら簡単に追いつけるはずだが、ユーリが精製した鴉を薙ぎ払いながら追っているため、なかなか手が届かない。電撃射程内の距離に食い止まるのが精一…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #22 「Spritzer①」

ヘリから勢い良く飛び出したレジーは、全身に法力を展開して空中制御と衝撃吸収を同時に行ない、コンクリートの地面に難なく着地した。 瞬時に拳銃を構え、周りを確認する。空港の滑走路上に、不審な人影はない。 周囲が安全であることを確認したレジーは手…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #21 「Corpse Reviver No.2」

「………………」 ヘリに乗ってから、アルドロはずっと押し黙ったままだった。 ヘリの中には、アルドロを招き入れた白髪紅眼で黒コートの男、先ほど機関銃を掃射してきた茶色の癖毛の髪の男、ヘリの操縦をしている男、そしてアルドロの計4人が同乗している。 見た…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #20 「Fallen Angel⑥」

意識を取り戻したアルドロを襲ったのは、エーカーの容赦ない拳だった。 顔面を殴られ再度意識を失いかけるアルドロを、エーカーは喉元を踏みつけることによって無理矢理叩き起こす。「ゲっ……ガハッ……!」 エーカーの足を掴んで、満足に呼吸ができないことを…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #19 「Fallen Angel⑤」

「ありがとう、アルドロ君」 ユーリが口にしたのは、先ほどのダニイルが口にしたのと同じ、感謝の言葉。 しかしそれはアルドロの心を強制的に撫で付けるような、気味悪さと恐ろしさを帯びていた。「君たちナイツロードのおかげで危機は去った。いくら"ジェロ…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #18 「Fallen Angel④ (Angostura bitters mix)」

「そこです」 市街のホテルを出てから小一時間後、オリガの言う通りに進んだアルドロは、とある脇道の傍でバイクを停めた。 バイクを降りた二人が暫く道なりに進むと、川を臨む小さな空き地に出た。 ベンチはあるが、特に遊具と言ったものは無い、何の変哲も…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #17 「Fallen Angel③」

「クソッ! 一体どうなってやがる!?」 普段のおちゃらけた雰囲気を一切投げ捨て、怒りに口を任せてレジーは言葉を吐き出した。「部屋には争った形跡もありませんでした。敵の襲撃ではないとするなら……オリガさんとアルドロさんは自分からここを出て行った…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #16 「Fallen Angel②」

朝6時。 水平線から顔を出した朝日が、旧市街を照らす。 まだ朝早いからか、街の中心地に位置する広場には、人影はない。ただ美を讃える像の隣に、鳥が一羽、羽を休ませているようだった。 鳥の鳴き声が耳に入ったのか、眠りから意識を取り戻し、重い瞼を開…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #15 「Fallen Angel①」

「交代だぜ」 そう言って、オリガの眠る寝室に入って来たエーカー。 部屋の中には、ベッドに横たわっているオリガと、傍の椅子に座って見張りをしているレジーの姿があった。 むこうを向いて、スヤスヤと眠るオリガの様子を横目で見つつ、エーカーが尋ねる。…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #14 「Sex on the beach③」

「さてと、聞きたいことが山積みなんだ。嫌でも喋ってもらうからな」 気を取り直して、エーカーは拘束した女に近づき——と言っても相手の靴底が届かない距離までだが——淡々と告げる。「この私を尋問しようというのか。愚かにも程があるな、オッサン! 部隊時…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #13 「Sex on the beach②」

オリガが部屋を飛び出してから30分後、何やら壁を殴ったり蹴飛ばす音が、扉の向こう側から聞こえ始めた。 なんとなくオリガの真似をして外の景色をボーッと見ていたアルドロは、だるそうに頭を掻きながら、物音のした方向に向かう。 音の発生源、風呂場の前…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #12 「Sex on the beach①」

「やあーっと着いたぁ……」 部屋に入った瞬間、疲れを口から吐き出しつつ、ソファーにごろりと横たわるレジー。 夜9時を回り、目的地であるボルドーに到着したエーカー一行は、地下列車を降車し、そのまま線路の真上にある宿『シャトー・アンジュ』に泊まるこ…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #11 「Red Eye②」

セントフィナス王国の王族が踏み入ることを赦された領域、ロイヤルハウス。 その中でも東の庭園は、アレクセイ国王の弟であるダニイルが最も気に入っている場所の一つであり、この庭の手入れが彼の日課の一つである。池の魚のエサやりから芝刈りまで、一人で…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #10 「Red Eye①」

北大西洋。バミューダ諸島とプエルトリコのちょうど中間地点、バミューダトライアングルのちょうど入り口に、人口92000人の小さな島国が浮かんでいる。 それがセントフィナス王国だ。 かつては軍事拠点として利用されていたが、英国の手に渡った後、17年前に…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #9 「42nd street③」

列車の天井に着地したボンゴは、王女のいる車両に向けて駆け出した。 とはいっても、走行する車両の上だ。それほどスピードは出せない。それでも図体の大きいボンゴが走ったり車両間を飛び移ることができるのは、法力を使って体勢を安定させているからだった…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #8 「42nd street②」

エーカーとアルドロの関係を表すのに、『犬猿の仲』よりも適した言葉はないだろう。 同じ職場の傭兵なら必ずしも仲が良いという訳ではない。特にエーカーはその性格から周囲に訝しまれることは多いが、それにしてもこの2人の犬猿っぷりは度を越している。 要…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #7 「42nd street①」

「……もっとイカした格好は用意できなかったのか?」 レジーが身じろぎしながらボヤくのも最もだった。今現在、エーカー達一行は王女や執事まで、全員が薄汚れた作業服を着て、地下の車両基地へ向かっている。 どうやら、今時の若者を尽く体現したレジーとい…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #6「Czarine」

「オリガ・アレクセヴナです」 エーカー達を迎えたのは一人の少女……セントフィナス国王、アレクセイ・ヴァシリヴィチ・パヴロフの一人娘、オリガ・アレクセヴナ。国王が崩御した今、王女として、後継者候補の一人だ。 しかし余りにも王女とは思えない格好に…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #5「Tom and Jerry②」

「よーし、全員集まったか?」 フランス・パリの郊外、グランパレ・ロイヤルホテルの一室に、エーカー達一行は集まっていた。 このホテルの中で一番安い部屋だが、内装はそこそこ整っている。しかし、いかんせん男4人が集うと狭くなってしまう。 そんな狭さ…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #4「Tom and Jerry①」

傭兵団ナイツロード所属の義肢技術士、ロッテ・ブランケンハイムの工房は、お世辞にも綺麗だとは言い難い。 あらゆる機器が無造作に置かれた室内、ただでさえ狭い上に床に散乱した設計図やら図面やらの書類や工学系の雑誌は見事に足の踏み場を無くし、テーブ…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #3「Bloody Sam③」

ヘリがプラントに到着するや否や、レイド・アーヴァントはヘリから飛び降り、辺りを見渡した。 それほど広いプラントではない。元は海質調査用の比較的小さなプラントだ。 しかし、機械の駆動音どころか人っ子一人の声も聞こえてこない。耳に入ってくるのは…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #2「Bloody Sam②」

TMMI社社長室は、文字通り緊迫した雰囲気に包まれていた。 ナイツロードの使者、イリガル・エーカー、イクス・イグナイト。 二人を取り囲んでいるのは、アサルトライフルを構えたTMMI社の兵士達。 さらにはその兵士達に肩を並べて、TMMI社社長のローグまでも…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #1「Bloody Sam①」

民間軍事企業TMMI社の社長、ローグ・マーチェンは、自社の兵士に連れられて社長室に入って来たナイツロードの使者の顔を見た途端、困惑の表情を浮かべた。 これまで、ナイツロードとの交渉は何回かに渡って行われてきた。その時の相手は物腰も丁寧で誠実さを…

アンジャスト・ナイツ2/Black Embrace #プロローグ

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アンジャスト・ナイツ 各話一覧

読みやすいようにまとめてみました(ほぼ自分用)