A地帯

創作小説、ブロント語、その他雑記等。

アンジャスト・ナイツ #5「Clover Club」

更新日時守るとか珍しいですね。

特に喋る事もないのでさっさと更新




翌日 PM7:00

「これで……全員なのか?」

目的地へ向かうトラックの荷台で揺られる中、隣に座ってるエーカーの奴は頼り無さそうにオレに問いかけてきた。

そう思うのも尤もかもしれない。今、トラックに乗っているのはオレ含め4人のみだ。

「今回の任務は人数が少ない方が動きやすい――って上の判断だってよ」

そう答えるとエーカーはきょとんとした顔でオレの方を見つめてきた。

「……なんだよ」

「いや、お前にしてはやけに真面目な答えだなっと。……熱でもあるのか?」

「ねェよバカ!なんか文句でもあんのか!」

オレがそう無理やり黙らせると、何か言い返したそうな顔をしながら腰のホルスターから銃を引っこ抜き、それをクルクルと弄び始めた。

まるで子供がおもちゃで遊ぶかのように。

オレはエーカーから目を逸らすと正面に座ってる2人の団員の方を向いた。

うち……片方が青髪の少年、もう片方が金髪の青年だ。

金髪の男は丹念に銃の調整をしている。やけに見かけた事のないカオだと思ったらどうやら支部から派遣されてきたらしい。

大手企業とはいえ、ナイツロードが請負う任務は多岐に渡り、依頼される任務の量は想像以上に多い。人員不足で支部から他の傭兵を派遣してくる事も少なくなかった。

その支部の中でも彼が優秀な兵士であることは、訊かずとも、一目で分かった。

氷のように冷たい左目――右目は眼帯に覆われている――は、いくつもの戦いを経験した者の目そのものであった。

何も喋らず、真剣すぎる目で武器の整備をしている。ちょっと話しかけてみようかと思ったが、邪魔したら殺されそうな気配が背を伝ったのでやめた。

一方、青髪の少年は同じく自身の武器を整備している事以外は、金髪の青年とまるで正反対だ。

体は出来上がってはいるが、何というか全身から優しさが滲み出ている。

服装も中々シャレていて、よもやこれから戦場に行く人の見た目ではない。

青髪はさっきまで金髪にしきりに話しかけていたが、金髪の方は黙ったままだったり、口を開いてもそっけない返事ばかりで、ついに自分の武器を整備し始める事により話しかけさせない雰囲気を作り上げた。

その効果はあったらしく、青髪は邪魔しないように同じく武器を整備し始めた。

そして今に至る、というわけだ。

青髪はその甘いルックスを保ちながら、自分の剣を確認していた。剣……と言ってもその剣には刀身が無く、細い柄だけが手元にあるのみだ。

空気中の粒子を瞬時に圧縮して刀身を形成する、所謂“ビーム・サーベル”ってやつだ。

普通の金属で出来た剣より持ち運びが楽で切れ味もバツグン、刃こぼれもしないから手入れも簡単と言う事で近年この界隈で流行ってる武器のひとつである。

オレはそれを剣だと認めていない。

使う剣は金属の独特の重みがしないとヤダ、というオレの妙なこだわりからだ。

先輩からはそんなこだわりに縛られて命を落とすつもりか、と言われたが、多分、永遠に縛られたままになるんだろうなとオレは思った。




「あのーすみません」

トラックに乗ってしばらく経った後、青い髪の少年が唐突に口を開いた。

「まだお互いの名前聞いてないですよね? せっかくこうして集まったんですし、自己紹介でもしませんか?」

確かにパーティを組みながらも、オレ達は互いのことをよく知らなかったがまるで学校の新学期の一番最初の授業みたいなノリだ。

「おぉいいねぇ、やろうぜやろうぜ」

意外にもエーカーの奴はノリノリである。ますますオレはこいつの事が分からなくなった。

「……くだらんな」

矢のような返答がその場の空気を切り裂いた。声の主はあの金髪の眼帯だ。

「お前達の事など興味は無い。それにこの任務が終わったらすぐにお別れだ。自己紹介など、無意味だろう」

「まぁそう邪険にするなよ。その任務成功の為にはチーム内の協力が必要だろう?俺はイリガル・エーカーだ。ヨロ」

もっともらしい、が、全く似合ってない言葉を並べて、エーカーは金髪の男に握手を求めた。

金髪の男は眉間にシワを寄せて(オレが思うに絶対怒ってる)しばらく差し出された手を見つめていたが、フンと鼻を鳴らして横を向くと、「イクスだ……第三支部に所属している」と不承不承ながらも挨拶した。

「僕はデルタ。短い間だけど、よろしくお願いします。……君は?」

「オレはアルドロ。偵察兵だ。よろしくな」

一通り自己紹介が終わったところで、イクスが口を開いた。

「……で、名前は兎に角、このチームのリーダーはどうするんだ?」

そういえばチームで集まってから、リーダーが誰とか言う話はしていない。正直、エーカー以外なら誰でもいいが。

「そうだね……この中ではエーカーさんが一番年上だよね? じゃ、エーカーさんでいいんじゃないですか?」

「……俺もそれでいい」

「え、そうか?じ、じゃあやっちゃおうかなー」

「……」

うわ、マジか。でも今となっては反対しづらい。しばらくの辛抱……か。

揺れるトラックの中、オレはおそらく生まれて初めて車酔いで吐きたいと思った。


=====


どうですかね、新たに登場した2人、こんなカンジでいいんですかね。コネクトさん、Frog&Snakeさん。

心配で夜は眠れないけど昼寝はする予定。

次回の更新は絶対遅れるよ。うごの方忙しいし(チャットで)。

ではノシ。